新暦と旧暦って何が違うの?

以前、六曜についての記事を書いたとき、新暦(しんれき)と旧暦(きゅうれき)という単語が登場しました。この2つにどんな違いがあるのか気になったので調べてみました。

暦の種類

まず、暦(こよみ)は大きくカテゴリ化すると、3つに分類されます。

・太陽暦(たいようれき)
・太陰暦(たいいんれき)
・太陰太陽暦(たいいんたいようれき)

新暦と旧暦の違いは、新しい古いだけでなく、使用されている暦の種類が違うということが一番のポイントです。

新暦(しんれき)とは

太陽暦(たいようれき)

新暦とは、現代で使用されている暦のことを指します。

現在、使用されているのは、「太陽暦(たいようれき)」という暦法です。

MEMO

暦法(れきほう)…暦を作るための方法という意味。

太陽暦は、太陽の運行(地球が太陽の周りを回る周期)を基準としているのが特徴です。地球が太陽の周りを1周するのに、365日と約6時間。

6時間が中途半端なので、1年を365日と定め、4年に一度だけ1日(6時間を4年分で24時間=1日)を追加して366日にすることで上手に調整しているのです。この366日になる年を「閏年(うるうどし)」と呼びます。

ちなみに、閏年に生まれた人は年を取らないなんてよく言いますが、法律によると、年を取るタイミングは「誕生日の前日が終わった瞬間」だそうですよ!

グレゴリオ暦

現在、世界の多くの国で使用されているグレゴリオ暦というのが採用されております。このグレゴリオ暦というのは、この太陽暦の1種で、日本もグレゴリオ暦を採用しています。

グレゴリオとは?
グレゴリオは、人物の名前です。1582年にローマ教皇グレゴリウス13世が暦の改良を命じて作らせた暦法のためグレゴリオ暦と名付けられました。

旧暦(きゅうれき)とは

太陰太陽暦

旧暦とは、新暦の前に使用していた暦を指します。

現在採用されているは太陽暦ですが、太陽暦の前は「太陰太陽暦(たいいんたいようれき)」という暦法が明治5年まで使われており、これが旧暦とされています。

※後述しますが、厳密には太陰太陽暦の種類の中でも「天保暦(てんぽうれき)」という暦の種類が旧暦にあたります。

太陰太陽暦は、月の運行(太陰暦)と太陽の運行(太陽暦)をMIXしているのが特徴です。太陽の動きを基準とする1年より11日短く、3年で約1ヶ月のズレが生じることになります。

そのため、3年に1度の割合で「閏月(うるうづき)」を加えて、1年を13か月として暦のズレを調整していました。

太陰暦(たいいんれき)

太陰暦は、月の満ち欠けの周期を基準としているのが特徴です。

新月から次の新月になるまでの29 or 30日間を1ヶ月とし、12ヶ月を1年(約355日)としていました。しかし、この場合、年を追うごとに日付と季節がズレてしまいます。

太陰太陽暦では、太陰暦とは異なり日付と季節がズレないように太陽の動きも考慮したものになります。

和風月名

旧暦では、1月のことを睦月(むつき)、2月のことを如月(きさらぎ)など、和風月名(わふうげつめい)という月の呼び名がありました。

新暦でも使用されていますが、旧暦の季節や行事に合わせたもののため、現在の季節感とは1~2ヶ月ほどのズレがあります。

1月:睦月(むつき)
仲睦まじい月。
正月に家族や親戚で集まり、睦みあう(親しくする)月のこと。

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2月:如月(きさらぎ)
旧暦の2月(新暦でいう3月中旬ごろ)は寒さが残っていて、衣を重ねて(更に)着る月のこと。如月の語源は、「衣更着(きさらぎ)」から来ている説が有力。

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3月:弥生(やよい)
木草弥生(いやよい)い茂るから由来。
暖かな陽気で草木が生い茂る月のこと。

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4月:卯月(うづき)
卯(ウツギ)の花が盛りになる月のこと。

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5月:皐月(さつき)
早苗(さなえ)を植える月のこと。
早苗月(さなえづき)の略で「さつき」となり、後に「皐月」の字があてられた。

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6月:水無月(みなづき)
田んぼに水を張る月のこと。
水月(みなづき)が変化したともいわれている。

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7月:文月(ふみづき/ふづき)
稲穂が実る月のこと。
稲穂が膨らむということで「ふくみ月」、短冊を書く七夕の行事から「文披月(ふみひろげづき)」、これらが変化して「文月」になったといわれている。

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8月:葉月(はづき)
木々の葉が落ちる月のこと。
葉落月(はおちづき)が変化して「葉月」になったといわれている。
新暦では夏ですが、旧暦では7月から秋。

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9月:長月(ながつき)
夜が長い月のこと。
夜長月(よながづき)の略で「長月」になったといわれている。
他にも、稲穂が実る「穂長月(ほながづき)」からという説もある。

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10月:神無月(かんなづき)
神々が出雲大社に集まり、各々の神々が留守になる月のこと。
「神なき月」が転訛して神無月になったといわれている。

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11月:霜月(しもつき)
霜が降る月のこと。
「霜降月(しもふりつき)」の略。

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12月:師走(しわす)
師が馳せる月のこと。
12月は僧(師)が各地でお経を読む月だったため、「師馳(しは)す」が転訛して師走になったといわれている。

和風月名の覚え方

小学校の頃、塾の先生から教わった語呂合わせの覚え方をお教えします。

「むきゃ〜!宇佐見夫人、鼻かんで失神!」

はい、これです。…意味不明ですよね。

解説すると、「む(睦月)き(如月)ゃ(弥生)〜!う(卯月)さ(皐月)み(水無月)ふじん(文月)、は(葉月)な(長月)かんで(神無月)し(霜月)っしん(師走)!」となります。

どうでしょうか(笑)?私は、十数年経っても覚えられているので、ぜひ試してみてください。覚えるコツは、宇佐美夫人を思い浮かべながら暗記することです♪

新暦に改暦した2つの理由

なぜ太陰太陽暦ではダメだったのか?
大きな理由として2つありました。

理由1. 近代化を目指すため

千数百年使われ続けた歴史ある旧暦を新暦に改暦する理由として、明治政府がヨーロッパで広く使用されていた「太陽暦」を採用して近代化するためといわれております。

理由2. お役人の給料カットのため

明治5年の当時、明治政府は財政難でした。なのに翌年は閏月のある年(1年が13ヶ月の年)を迎えてしまうため、官吏(かんり)の給料を1ヶ月分余計に支払わなければなりませんでした。

MEMO

官吏(かんり)…国家公務員などの役人のこと。

そこで、明治政府は明治6年を新暦(1年を12ヶ月)に変更することで、1ヶ月分の給料の支払いを無くさせたのが目的だった。という説もあります。

旧暦の名残り

明治6年に新暦となり、現在は2018年ですが、私たちの生活には旧暦の名残りがたくさんあります。

日本では3ヶ月ごとに季節が変化しますが、新暦と旧暦では約1〜2ヶ月のズレが生じています。そのため、季節に関する年間行事で、旧暦の名残りが多く存在します。

下記は、旧暦と新暦の春夏秋冬を表現する時期ですが、2ヶ月のズレがあります。

旧暦の春夏秋冬

旧暦の春: 1月、2月、3月
旧暦の夏: 4月、5月、6月
旧暦の秋: 7月、8月、9月
旧暦の冬: 10月、11月、12月

新暦の春夏秋冬

新暦の春: 3月、4月、5月
新暦の夏: 6月、7月、8月
新暦の秋: 9月、10月、11月
新暦の冬: 12月、1月、2月

新暦では3月が春の始まりですが、旧暦では1月です。年賀状で「新春」や「迎春」と書いていますが、これは旧暦の挨拶が元になっており、それが今でも使われているようです。

他にも、夏にあるお盆について。お盆の意味というのは「初春と初秋の満月の日に、祖先の霊がもどってくるのを迎える」という行事だといわれております。

これ、旧暦では7月15日(満月)に行われていたようですが、新暦に変わってからは、旧暦の7月15日にあたる新暦の日や新暦の7月15日or8月15日など、地域によって異なりました。現在は、8月15日がお盆とするのが一般的になり、そこを夏季休業とする会社が多いですが、満月という概念が全然関係なくなっているようです。。

暦の歴史

600年頃
元嘉暦(げんかれき)/太陰太陽暦

・中国から伝わる

・日本に伝えられた最初の暦法とされている

690〜764年
儀鳳暦(ぎほうれき)/太陰太陽暦

・中国の暦

・元嘉暦と併用され、697年から単独で使用された

764〜861年
大衍暦(たいえんれき、だいえんれき)/太陰太陽暦

・中国の暦

862〜1685年
宣明暦(せんみょうれき)/太陰太陽暦

・800年近く長きに渡って使用された

1685〜1755年
貞享暦(じょうきょうれき)/太陰太陽暦

・初めて日本独自の暦が作られる

1755〜1798年
宝暦暦(ほうりゃくれき、ほうれきれき)/太陰太陽暦
1798〜1844年
寛政暦(かんせいれき/太陰太陽暦
1844〜1872年
天保暦(てんぽうれき/太陰太陽暦
1872〜現在
グレゴリオ暦 /太陽暦

・初めて太陽暦が採用される

まとめ

新暦となってから長い年月が経ちますが、まだ旧暦の名残りが私たちの生活に多く存在しているようで「なるほど!」って感じですね。娘が大きくなったら、得意げにウンチク話をしてやろうと思います(笑)